普通の主婦のフツーを楽しむ毎日

子育て中、普通の主婦が毎日気ままに思うことをつづります。

私に惚れてる太郎さん

家なのに、視線を感じる時がある。

家なのに、見られている、と落ち着かない時がある。

そう、犯人は太郎さん。

サイトウ太郎、32歳。

彼は私に惚れているのだ。

 

洗い物をしていると、キッチンカウンターの向こうから視線を感じる。

ふと顔を上げると、奥のソファに座った彼がこちらを見ている。

こちらを眺めているのではない。

私の顔を見ているのだ。じっと。

「なん?」と言う時もある。

何も言わずに気づいていないフリをする時もある。

 

ごはんを食べる姫さんを見ていると、何やら視線を感じる。

視界には、こちらを見ながらソファでくつろぐ彼がいる。

姫さんを見ているのではない。

ソファからは姫さんの後ろ姿しか見えない。

私の顔を見ているのだ。じっと。

私は気づいていないフリをする。

 

姫さんが生まれる前はもっと見られていた。

ごはんを食べていると必ず見つめられていた。

キラキラした目で。

私がバクバクもぐもぐ食べるのを見ながら「可愛い。」なんてつぶやく時すらあった。

しょっちゅうあった。

悪い気はしない。でもこちらにはこちらの都合がある。

そんなにまじまじと見られても食べづらい。

家なんだから気を抜いて大口開けてあくびもする。

お肌の調子が良くない時もある。

顔のむくみがひどい時もある。

最近太ってヤバいなーって思っている時もある。

髪が鬱陶しくて顔全開だし産毛も剃ってないしって時もある。

 

でもそんなことを思いながら、まだ太郎さんに「よく思われたい」願望がある自分がいることに気づいて、私もまだ乙女なのだ、と思う。

こどもができたら見られなくなると思っていた。

安心していた。開放されると思っていた。

でも、彼にとっては姫さんは姫さんであり、私は私らしい。

開放される、そう期待していたはずなのに、今も見られてさらには未だに「可愛い」などと言ってくる太郎さんの言葉がどうやら私は嬉しいらしい。

どうやら私も彼に惚れている、らしい。笑